通訳ガイドはなんでもできるってわけじゃないんですよ

ガイド

Image by Free-Photos from Pixabay

去年の2月後半から、新型コロナウイルス感染症の影響で、外国人観光客の激減に伴い、通訳ガイドの仕事はゼロ。我が社に時々お見えになっていたお客様も来日することができなくなり、本当に寂しく思っています。

通訳ガイドをしていて思うこと

通訳ガイドはなんでも知っていて、どんなことでも訳せる・・・なんてことはないんですよ💧

全国通訳案内士とは

「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。)を業とする。」日本政府観光局 全国通訳案内士試験概要より

あくまでも旅行に関する案内なので、 深い学術的な内容や、特殊な内容をすべてお伝えできるわけではありません。

しかし、お客様をお連れして色々な場所に行くと、お店の方や施設スタッフさんたちが、安心したように、ものすごくたくさんの情報を日本語で話してくださる時があります。

話終わった後、「はやく、訳して!ほらほら!」という期待の目で、通訳ガイドを促されるのですが、メモを取らない状態で、5分も話されたら全部を訳すことは無理ゲー。

「カトちゃん、ぺっ」をどう訳すか

典型的な例が、日本のギャグをそのまんま、訳して、と言われること。
お土産を買うアシストをしていた時、お店の人が、こんなのがありますといって、カトちゃん人形のゴルフカバーを持ってきました。
ここまでなら、OK。
日本で人気のあるコメディアンのキャラクターです、と説明したら良いので。

でもそのあと、若い店員さんが、そのゴルフカバーを振りながら

加トちゃん、ぺっ、加トちゃん、ぺっ」って繰り返すんです。

店員さんは悪気はない、お客さんを笑わせようとしているだけで。

だけど・・・そもそも、そのギャグは、適切な場面にカトちゃんが言うから面白いのであって、お客さんにしたらなに?って感じ。
このキャラクターのおきまりのジェスチャーなんですよ、と説明するものの、だから?何が面白いの?という顔をされています。

その横で、加トちゃんペッを繰り返す、若いお嬢さん。カオスです。

「やればできる子」をどう訳すか

子供にお土産のTシャツを買って帰りたいとおっしゃったお客さま。
アニメのドラゴンボールとか、スラムダンクあたりのキャラクターTシャツを選ばれていた時、こんなのもありますよ〜と言って、店員さんが出してきたのが、日本語が胸に書いてあるTシャツ。

「必勝」は「成し遂げるために全力を尽くすパッション」と訳し、「侍」は「ウォリアー」、もうこの辺でやめておいてほしい。

なのに、お客様の目を引いたのが「やればできる子」Tシャツ・・・う〜ん。

「ふだんは、シャイでおとなしいが、モチベーション次第でやり遂げる若者」と訳しました。

例によって、なぜそんなことをTシャツに書くのか、ちょっとワカラナイ・・・ですよね〜
でも、字がCoolだから買って帰るとおっしゃる。

いや、ヤメテ。日本語がわかる人が見たら、絶対笑うから。子供かわいそうだから。

結局、スラムダンクと「やればできる子」2枚お買い上げ。
あたしは、全力を尽くした。あとは知らん!

冷や汗をかき通しだったけど

私がガイディングを行うのは、企業訪問をされた外国人が主で年に数回。
専従の方に比べると経験は不足し、冷や汗をかくことも多かったですが、お客様からいろんなお話も聞けて、たいへん楽しかったです。

どうやら、コロナ禍前水準まで、訪日外国人客が戻るのは数年かかりそうです。

その時のガイディングスタイルはどうなっているのか。
以前のままなのか、マイクロフォンとイヤフォン必須のスタイルになるのか。
どんなスタイルになるにせよ、ガイディングの中身が寂れないように、修行はつづくよどこまでも(笑)。

あのドキドキする刺激、苦しいけどなつかしい〜

Welcome back to Japan!

お待ちしておりますよ〜

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