父の妹で、今年の2月、80歳になった叔母がいます。
70代半ばから手指にリウマチの症状、骨粗鬆症による脊椎の圧迫、記憶の衰えなど、ここにきて一気に老化の波が押し寄せた感があります。
数年前までは、こまめに美容院へ行って身綺麗にしていた叔母なのに、ここ最近訪ねていくと同じ服装をしていることが多いです。
それも、年中寒いと言っていて、靴下にタイツが手放せないとも。
数年前までは、ときどき、叔母、姉、わたし、3人でお昼ご飯を食べに行って、馬鹿話で大いに笑い転げたものです。
叔母は老いてもユーモアのセンスは抜群で、昔話も最近の話も一緒に話していて楽しいのです。
わたしも老いてもこんなふうに陽気でいられたらなあと思う理想的な老い方なのです。
しかし、最近、あちこちが痛むのと、物忘れがひどいといういうことで、会うたびに落ち込んでいます。
娘家族が近所に住んでいるものの、現在は、叔父とふたりで生活しています。
叔父から頼まれていたことを、忘れていることが増え、体のあちこちが痛むので、料理、洗濯、片付けも思うようにできない、とこぼしています。
冬はとくにお風呂が寒いので、入りそびれて3日間入らなかったり、自分でも変だと思うという叔母です。
姉が、「それだったら、介護認定を受けて、デイサービスを利用したらいいんじゃないの?」と言ったところ、「そんなもったいないことはできない」と言う。
いやいや、介護保険料を払っているのだから、介護サービスを使わなければ損よ、と姉。
たとえば、家の中の階段に手すりをつけるとか、いわゆるバリアフリーにするための費用は介護保険から一部補助があるはず、と言うと、えっ!という顔つき。
また、叔母は広島に原爆が投下されたとき、広島市内にいたので、被爆者健康手帳を交付されていて、介護サービスにかかる自己負担は不要です。
まったく、原爆投下後、何年も辛い思いをして、また現在でも介護保険料を払っているのだから、介護サービスを受けないのはもったいない以外のなにものでもない。
姉とふたりであれこれ、父の時のことを思い出しながら、いろいろ言い募ったところ、叔母がぽつんと、
「いろいろ教えてくれてありがとうね。でも、おばちゃん、これらのこと全部覚えておける自信がないんよ。」
と心細げに言います。
ああ、いっぺんに言いすぎちゃったなあと反省しながら、
「わかったよ。〇〇ちゃん(叔母の娘、私たちのいとこ)に言っておくよ」と言うと、ほっとした様子。
叔母の様子を見ながら、そうか、70代と80代では、理解力にも差が出るんだね。
仕方がないことだけど、20年後の自分達を見たような思いがしました。
自分が必要と思った時は、介護サービス躊躇せず、すぐに利用しようっと。
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